「時給が高い案件を選んでいるのに、思ったほど手元に残らない」——そう感じている方に向けて、表示時給だけで案件を選ぶと起きる「時給の罠」を数字で確かめます。この記事では、遠くの高時給案件が近場の案件に勝つために時給がいくら高ければいいのかを、勤務時間と移動時間の組み合わせごとに試算しました。
※ この記事の数値は、テドリメ編集部がモデルケースを設定して計算したものです。特定の方の実例ではありません。計算式はテドリメの実質時給ツールと同じです。
時給の罠とは:表示時給1,200円が実質758円になる
実質時給とは、手取り額(報酬から自己負担の交通費を引いた額)を、勤務時間と往復の移動時間の合計で割った金額です。
実質時給 =(時給 × 勤務時間 − 自己負担の交通費)÷(勤務時間 + 往復の移動時間)
次のモデルケースで計算してみます。
| 条件 | 値 |
|---|---|
| 表示時給 | 1,200円 |
| 勤務時間 | 4時間 |
| 往復の交通費(自己負担) | 760円 |
| 往復の移動時間 | 80分(片道40分) |
- 報酬:1,200円 × 4時間 = 4,800円
- 手取り:4,800円 − 760円 = 4,040円
- 使った時間:4時間 + 80分 = 5時間20分
- 実質時給:4,040円 ÷ 5.33時間 ≒ 758円
表示時給1,200円 → 実質時給758円。表示より約37%低くなります。
同じ4時間勤務で、徒歩10分(往復20分)・交通費なし・時給1,100円の近場の案件なら、実質時給は約1,015円です。表示時給は100円低いのに、実質では250円以上高くなります。これが「時給の罠」です。
【独自試算】遠くの案件が近場に勝つには、時給がいくら必要か
では、遠くの案件はどれだけ時給が高ければ「割に合う」のでしょうか。近場の案件を基準に、同じ実質時給になる表示時給(損益分岐の時給)を計算しました。
試算の前提
- 基準にする近場の案件:時給1,100円、徒歩で往復20分、交通費0円
- 遠くの案件:往復の移動時間と交通費を3段階で設定(往復60分・400円/往復90分・600円/往復120分・800円)。交通費は全額自己負担とする
- 勤務時間は3時間・5時間・8時間の3パターン。両案件の勤務時間は同じとする
- 税金・社会保険料は考慮しない(案件間の比較には影響しないため)
結果:損益分岐の時給
| 勤務時間 | 近場の実質時給 | 往復60分・400円 | 往復90分・600円 | 往復120分・800円 |
|---|---|---|---|---|
| 3時間 | 990円 | 1,453円(+353円) | 1,685円(+585円) | 1,917円(+817円) |
| 5時間 | 1,031円 | 1,318円(+218円) | 1,461円(+361円) | 1,604円(+504円) |
| 8時間 | 1,056円 | 1,238円(+138円) | 1,329円(+229円) | 1,420円(+320円) |
カッコ内は、近場の時給1,100円に対して必要な上乗せ額。遠くの案件の表示時給がこの金額を超えれば、実質時給で近場を上回ります。
試算からわかる3つのこと
1. 短時間の案件ほど、遠くに行く価値が下がる
往復60分の移動でも、3時間勤務なら時給が353円以上高くないと近場に負けます。8時間勤務なら138円高ければ足ります。移動時間と交通費は勤務時間に関係なく毎回かかる「固定費」なので、短い勤務ほど1時間あたりの負担が重くなります。
2. 「時給200円アップ」で遠くを選ぶと、多くの場合は損をする
表の9パターンのうち、上乗せ200円で近場に勝てるのは「8時間勤務・往復60分」の1つだけです。5時間勤務でも、往復60分で218円の上乗せが必要です。
3. 往復120分かかる案件は、時給1,400円台でもほぼ割に合わない
8時間勤務でも損益分岐は1,420円、3時間勤務なら1,917円です。
参考:遠くの案件が時給1,300円だった場合の実質時給
| 勤務時間 | 往復60分・400円 | 往復90分・600円 | 往復120分・800円 | (比較)近場1,100円 |
|---|---|---|---|---|
| 3時間 | 875円 | 733円 | 620円 | 990円 |
| 5時間 | 1,017円 | 908円 | 814円 | 1,031円 |
| 8時間 | 1,111円 | 1,032円 | 960円 | 1,056円 |
表示時給が200円高い1,300円の案件でも、近場の1,100円に勝てるのは「8時間勤務・往復60分」の1パターンだけでした。
罠にはまりやすい3つの見落とし
① 交通費は「支給あり」でも全額とは限らない
交通費の支給が固定額や上限つきの場合、実際にかかった運賃との差額は自己負担になります。計算に入れるのは「実際の運賃 − 支給額」です。交通費の表示の違いはタイミーの交通費は自腹?で詳しく整理しています。
② 移動時間には報酬が出ない
自宅と現場の往復にかかる時間は、一般に労働時間には含まれず、報酬も発生しません。それでも、その案件のために使った時間であることに変わりはありません。
③ 短時間案件は「固定費」の比率が大きい
上の試算のとおり、同じ移動でも勤務時間が短いほど実質時給は大きく下がります。2〜3時間の案件を遠くまで取りに行くのが、いちばん罠にはまりやすいパターンです。
時給の罠を避ける3つのコツ
1. 案件を比べるときは、必ず実質時給にそろえる
表示時給のまま比べると、移動と交通費の差が見えません。
2. 遠くの案件は「時給がいくら高ければ割に合うか」を先に決める
上の損益分岐表を目安に、自分の最寄りの案件を基準にして考えます。
3. 遠くに行くなら長時間の案件を選ぶ
移動の固定費が勤務時間で薄まるため、同じ移動でも実質時給の下がり方が小さくなります。
毎回の計算が面倒な場合は、テドリメのツールで時給・勤務時間・交通費・移動時間を入れると、実質時給がすぐに出ます。最大3件まで並べて、実質時給の高い順に比べることもできます。
よくある質問
Q. 実質時給が最低賃金を下回ったら違法ですか?
A. 最低賃金は、働いた時間に対して支払われる時給に適用されます。移動時間や自己負担の交通費を含めて計算した実質時給が最低賃金を下回っても、それだけで違法にはなりません。詳しくは最低賃金と実質時給の記事で解説しています。
Q. 疲れやすさは計算に入れられませんか?
A. 実質時給で数字にできるのは、お金と時間だけです。体力的な負担は数字にならないので、実質時給が近い案件どうしを比べるときの判断材料として別に考えてください。
Q. 交通費が支給されると、年収の壁の計算に影響しますか?
A. 制度によって扱いが違います。所得税では、一定額までの通勤手当は非課税とされます。一方、社会保険の扶養(130万円の壁)の判定では、通勤手当も収入に含めて考えるのが一般的です。ご自身の状況は加入している健康保険や勤務先に確認してください。年収の壁の全体像はスポットワークの扶養内管理にまとめています。
Q. 自転車や徒歩で行ける場合はどう計算しますか?
A. 交通費を0円、移動時間を実際にかかる往復の分数にして計算します。近場の案件が強いのは、この2つがほぼゼロになるからです。
まとめ
- 実質時給は「(報酬 − 自己負担の交通費)÷(勤務時間 + 往復の移動時間)」で計算する
- 表示時給1,200円・片道40分・交通費760円・4時間勤務のモデルケースでは、実質時給は約758円
- 近場の時給1,100円に勝つには、3時間勤務・往復60分でも時給1,453円以上が必要
- 移動と交通費は勤務時間に関係なくかかる固定費なので、短時間案件ほど影響が大きい
- 遠くの案件を選ぶなら、長時間の案件にするか、損益分岐の時給を超えているかを確認する
手取りをさらに増やすには
実質時給を上げる以外に、日々の支払いをポイント還元のあるカードにまとめる方法もあります。
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最終更新:2026年9月|試算:テドリメ編集部(モデルケースによる計算)|参考:公式情報・公的資料をもとに作成
テドリメ編集部
スポットワーク(タイミー・シェアフル・スポットバイトル等)の公式情報・利用規約・制度を継続的に調査し、ワーカー目線で整理している編集チームです。実質時給の計算ツールを自社開発。本記事は公式情報・公的機関の資料・利用者の声をもとに編集部が作成し、制度改正に応じて更新しています。運営・編集方針について


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